記事→バイオベンチャーが発信する最恐のネガティブIRは「有位差はありませんでした」という治験結果のIRです。
先日も、アビガンの治験について藤田医科大から「今回の治験では有位差は確認出来なかった」との発表がありました。
これを聞いた一般の国民ほとんどは「なんだ、アビガン効かないのか・・・」と思うでしょう。
しかし、今回の治験は、被験者が89名、しかも治験開始時には19名が回復していたとのこと。更に治験対象者を軽傷者にしたのも失敗の要因だったかもしれません。
ですから、アビガンの今回の治験は準備不足で、さらに被験者不足という印象は否めません。
その原因が政府のごり押しなのかどうかは判りませが、本来の治験というものは、有意差を出せる被験者数を逆算し設定して、主要評価項目もしっかりと吟味して・・・などなど、万全の計画を立てて臨むものです。
ですから、今回のアビガンの治験は、実施する前から「有位差」を出すのは難しいのはある程度予測できたのではないかと思います(私見)。
そこで、今日は「有位差」についてお話ししたいと思います。
まず、「優位差」ではなくて「有意差」です。読んで字のごとく、「意味の有る差」ということです。
「有意差あり」とは簡単に言いますと、「誤差や偶然で生じた差ではなく、意味のある差が間違いなく存在する」ということです。
サイコロの6が出る確率は1/6ですが、Aというサイコロを六回振って6が二回出たら「このサイコロは6がよく出る特別なサイコロだ」とは必ずしも断定できません。それは偶然だったかもしれません。
しかし、六百回振って6が二百回出たら、「このサイコロは誤差や偶然ではなく間違いなく6がよく出るサイコロだ」と言えます。これが「有意差あり」です。
この「間違いなく存在する」ことを証明するのは統計学的解析です。
一般の治験では、「p<0.05」(pとは事象が起こる確率)が判定基準として使われます(0.05を用いるのが一般的)。このp<0.05とは、平たく言うと「治験結果が誤差や偶然である確率が5%未満である」という意味です。
この計算は複雑な統計学的な解析によるもので、ここでは割愛します(カイ二乗検定、信頼区間など)。ただ、実施数が多いほど、有意差は出やすくなります。
治験で言いますと、被験者数が少ないと、よほど薬の切れ味が良くないと有意差は出ません。今回のアビガンのケースもこれにあたると思います(私見)。
ですから、個人投資家は、「治験結果に絶対はない」ということを肝に銘じるべきです。
ブライトパスバイオ「ITK-1」の第三相「有意差なし」➡
https://pdf.irpocket.com/C4594/bGi3/O876/neGQ.pdf
など、私も面食らったIRはよく覚えています。
ただ、「有意差なし」という表現には、異論も多いようです。「有意差なし」=「この薬剤は効果がない」とのレッテルを貼られてお蔵入りした薬剤(本当は効果がある良薬だったかもしれない)は多いと思います(私見)。以下Natureの記事では、世界中の科学者が「有意差なし」という言い方はもう止めようと提案しています。
→
「“統計的に有意差なし”もうやめませんか」 Natureに科学者800人超が署名して投稿 - ITmedia NEWS
いずれにしても、個人投資家にとって治験結果のIRは、いつもドキドキの爆弾のようなものです。
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