「バイオベンチャー通信」

創薬バイオベンチャーについての情報を発信していきます。なお、ブライトパスバイオ、モダリス、ステムリムについては個別ブログをご覧願います。

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記事014:昨日4日、厚労省は薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開き、先駆け審査指定制度で楽天メディカルジャパンのがん光免疫療法に用いる「アキャルックス」を承認。

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記事→楽天の三木谷会長の肝いりで、研究が進んでいた「光免疫療法」。
数年前、光免疫療法のニュースを聞いて、楽天メディカルを調べたら非上場であり、しかも三木谷氏の個人的な資金投入によるものと知り、投資の対象にはならないなと判断したことを思い出します。その後、楽天の子会社となっていますが、非上場のままです。

先月、」楽天メディカルの三木谷浩史会長は、メッドライトの買収について、「さまざまな疾患に対して活用できる光の計測技術で世界的なリーダーであるメッドライトの買収は(楽天メディカルにとって)理想的」とした上で、「患者のニーズに応えるため、提供する治療を最適化するためのサプライチェーンを強固にするものだ」と述べていました。

そして、昨日4日厚労省は薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開き、先駆け審査指定制度の対象品目で楽天メディカルジャパンのがん光免疫療法に用いる「アキャルックス」(一般名=セツキシマブ サロタロカンナトリウム〈遺伝子組換え〉)などの承認を了承しました。今月中に承認される見通しです。

 今回の承認は、先駆け審査指定制度による承認であり、いわば条件付きの承認です。
アキャルックスの承認条件には、全例調査のほか
①切除不能な局所再発の頭頸部がん患者を対象に実施中の臨床第3相(P3)試験における同剤を用いた治療法の有効性・安全性について、医療現場に適切な情報提供を行う。
②同剤を用いた治療法の講習を受け、この治療法に関する十分な知識・経験のある医師によってのみ用いられるよう、必要な措置を講じる。
などの条件が付きました。条件付き早期承認制度の適用品目としては5つ目となります。

我が国の種々ある早期承認制度は、ともすれば「前のめりで安全性を欠く」との批判もあり、多分にサイエンス以外の要素から構築された制度との批判があります。
ただ、私見ですが、
10年ほど前までの旧態依然とした我が国のお役所仕事では、承認されるまでの期間が長く海外諸国の承認スピードには大きく後れを取っていました。
それが、180度の方針転換で、早期承認に向けて大きく舵がとられました。この先駆け審査指定制度もその方向転換の成果の一つです。

投与前の安全性と事後的な効果検証を厳格に運用しながら、真に早期承認の趣旨に見合う新薬を厳選していくことを強く希望します。
そこには、「患者目線の運用」が求められます。ただ、治療法が見出されていない希少疾患の患者さんは、ともすれば新薬に希望を見出そうと前のめりになりがちですので、そこはサイエンスの観点からしっかりと安全性を見極めながら、本制度を運用すべきだと思われます。

なぜか、この光免疫療法は、するするといくつかのバーを通過して承認されたように感じます。

いずれにしても、今後の展開を注視したいと思います。

日経記事→がん「光免疫療法」薬剤 厚労省部会が了承 楽天系が開発: 日本経済新聞

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