「バイオベンチャー通信」

創薬バイオベンチャーについての情報を発信していきます。なお、ブライトパスバイオ、モダリス、ステムリムについては個別ブログをご覧願います。

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記事016:厚生労働省、楽天メディカルジャパンの光免疫療法「アキャルックス®点滴静注250㎎ BioBladeレーザシステム」を新医薬品として承認。

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記事➡️楽天三木谷会長の肝いりで進行していた「光免疫療法」。
当初、光免疫療法のニュースを聞いて、楽天メディカルを調べたら非上場であり、しかも三木谷氏の個人的な資金投入によるものと知り、投資の対象にはならないなと思いました。その後、楽天メディカルに「楽天」の資本が注入されましたが、光免疫療法のポジティブIRが出ても、楽天の株価には大きな変動はなく「こんなものか~」と肩透かしを食らったことも地場芝でした。
ただ、「光免疫療法」は、ブライトパスiPSーNKTの対象がんである「頭頸部がん」と同じ対象でしたので、その後も注目はしていました。

そして今般、先駆け審査指定制度も用いて承認されたとのこと。
「ちょっと調子よくないかな~?」というのが、正直なな感想です。
さきがけ審査指定制度には賛否両論ありますが、そこは置いておくとしても、、、
今回の承認は、海外の局所再発頭頸部癌を対象とした第Ⅰ/Ⅱa相臨床試験 (39例)、並びに国内第Ⅰ相臨床試験 (3例) の結果に基づいています。
わずか42名の被験者で、しかも国内治験は国内第Ⅰ相臨床試験の3名のみです。国内での承認でありながら、二相の39名は全て海外というところが引っかかります。ほとんどが海外治験のデータで、承認だけは国内です、というのはどうかなと。

第Ⅱa相臨床試験では、中央判定によると、奏効率は43.3%、うち完全奏効が4名 (13.3%) 、部分奏効が9名 (30.0% ) でした。国内第Ⅰ相臨床試験では、中央判定による奏効率は2名 (66.7%) で、いずれも部分奏効であったとのことです。

ともあれ、承認されたのは事実ですので、今後は「条件付き」を厳格に順守してしっかりと上市後の安全性を監視して、なし崩しにならないよう運用していくことが肝要だと思われます。

新型コロナワクチンの治験でも「政治の圧力」が取りざたされましたが、先駆け審査指定制度も、制度それ自体の存在に「前のめり政治姿勢」が垣間見えます。
「薬」とは、もともとこの世に存在していなかったものを人間が創りだした(組み替えた)ものです。ですから、安全性は未知の領域が殆どです。だからこそ、これまで人間は膨大な時間とコストを投じて丁寧に「治験」をデザインしてきました。このことで辛うじて人間の行為を補完し安全性を確保してきたわけです。
そこに「前のめりの政治」や「前のめりのサイエンス」が介入してくることは、極めてリスクの高い状況を作り出すことになります。

サイエンスの進化と安全性の確保は永遠の課題です。


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参考資料→厚労省 新薬9製品を承認 世界初の光免疫療法用薬アキャルックスなど | ニュース | ミクスOnline

参考資料→楽天メディカルジャパン、医薬品・医療機器によるがん局所治療 アキャルックス®点滴静注250㎎及び、BioBlade®レーザシステム 国内での製造販売承認取得のお知らせ - 楽天メディカル - がん克服。生きる。

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